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ドローンを持って飛行機に搭乗、そのお作法と注意点

感染症騒ぎもひと段落した兆しを見せ、今年のG Wも行楽に出かける方も増えました。その中で、旅行のお供にドローンを持っていった方はどの位いるのでしょう。

本稿執筆時は関西も梅雨入り直後で、ドローン撮影業務を生業としている者からすると、閑散期の始まりです。同様に趣味でドローンによる空撮を楽しまれている方にとっても、ちょっとお休みの季節になりますが、今年は法改正があって飛行に係るルールや各種制度は変ったり新しく増えたりしています。せっかくなので、この機会を運用知識のアップデートに使ってみては如何でしょうか。と言いつつ、法改正を前に最近は新制度がらみのネタばかりなので、今回は趣向を変えて、飛行機にドローンを持ち込む際の注意点やそのお作法を解説したいと思います。

航空機への危険物持ち込み禁止

航空機での輸送が禁止されている物件として航空法によって定められている物件は、火薬や引火性の物や毒物、非食性物質や放射性物質、凶器など10品目が挙げられています。

(航空法第86条/同施行規則194条第1項)

ドローンの構成物品を考える

市販されている「ドローン」と呼ばれる商品は主に、機体・送信機・バッテリー・充電器で構成されています。このうち、バッテリーは腐食性物品として航空輸送において制限物件に指定されています。送信機のバッテリーも同様です。

【航空危険物貨物の代表例】

【危険物であっても航空機内への持ち込み又はお預かりができるもの】

【機内持込・お預け手荷物における危険物についてのお問い合わせ先】

ドローンとその周辺機器を飛行機に持ち込む場合は、使用しているバッテリーの容量によって、持ち込みのルールが定められています。

バッテリーは必ず機内持ち込み

飛行機にドローンを持ち込む場合は、必ず手荷物としてキャビンに持ち込む必要があります。受託手荷物として、カウンターで預けることはできません。受付時にもモバイルバッテリーや電子タバコケースが入っていないか確認がされるかと思います。

なお、機内に持ち込むことができるバッテリーには制限があり、額定容量によって個数の制限や持ち込み禁止の規定があります。

100Wh未満・・・個数制限無し
100Wh以上160Wh未満・・・1人2個まで
160Wh以上・・・持ち込み禁止

市販されている多くのドローンは100wh未満の額定容量が設定されています。

Mavic 3用バッテリー

900g弱のMavic 3を46分飛行させる容量のあるバッテリーも、その額定容量は77Wh。DJI製ドローンは産業機も含めて100Whを超える容量のバッテリーは現在採用されておらず、大容量を必要とする大型ドローンは100Wh未満のバッテリーを複数個搭載することで容量確保を実現しています。

ドローンは全部キャビンへ、手荷物検査時は事前告知でスムーズに

制限物件はバッテリーのみなので、機体本体は受託手荷物として預けることは可能ですが、破損等のリスクもあるので、機体本体も一緒にキャビンへ持ち込むことをお勧めします。プロペラブレードが手荷物検査に引っかかる可能性は「0」ではなく、プロペラを取り外しておくか、受託手荷物がある場合は、預け入れの荷物の中に入れておくのも良いでしょう(ちなみに筆者はプロペラを指摘されたことはありません)。

なお、手荷物検査を受ける時には事前にドローンを持ち込む旨告知しておくと、後のチェックがスムーズになります。また、バッテリーの容量を確認される場合があります。特に規模の小さい空港だと容量チェックが求められる可能性が高くなります。バッテリー容量の値がどこに記載されているのか、予め把握しておく様にしておきましょう。

空港内での無闇な機動はNG

空港敷地内で無闇にドローンの電源を入れることは控えてください。駐車場や接続している駅なども同様です。

2019年の関西空港での未確認ドローンの飛行による滑走路閉鎖事件以来、空港敷地内ではドローンに感知システムが導入されており、ドローンの通信電波を検知して滑走路の閉鎖等の措置を取ることになっています。

空港施設内で、ドローンの電源を入れること自体、違法行為ではありませんが、航空保安上必要な措置として滑走路を閉鎖する対応を取らせてしまった以上、威力業務妨害で立件される恐れがあります。実際に2021年6月25日に福岡空港の敷地内でドローンの電源を入れ、航空機の離着陸を妨げたとして、航空法違反ではなく刑法犯(威力業務妨害罪)で送検されたことがありました。

データの取り出し等で、どうしてもドローンを機動しなければならない場合は、保安検査通過前後にかかわらず、空港警備員に事情を説明して空港管制や空港保安部の了承を得てから電源を入れる様にしてください。

飛行機へのドローンの持ち込みには、航空法規による制限があったり、取扱のお作法があります。旅行の行きがけにトラブルに見舞われ、以後意気消沈になったりしない様に注意してください。

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