DJI製空撮用ドローンの新製品、DJI Mini 3 Proが店頭に入荷し、デモ機のファームウエアアップデートと諸々の設定後、テスト飛行を行いました。飛行中の各種制御には、他のMavicシリーズと同様にDJI Flyを使用しますので、既にMavic Mini以降のシリーズ製品をお持ちの方であればソフトウエアの扱いはお手のものでしょう。
Miniシリーズの3代目となるDJI Mini 3 Proを扱う上での注意点は、今現在(2022年5月末)でも、「無人航空機」のカテゴリに分類されるという事です。Mini 3 Proには従来日本向けに設定されていた200g未満の軽量化バージョンは設定されていません。そもそも、この記事を執筆している1ヶ月後には、ほぼ全ての空撮用ドローンが「無人航空機」化するので、今更200g未満バージョンを設定する意味も無かったり。という事で、日本向けに販売されるDJI Mini 3 Proの重さは249g。アメリカ等では機体登録制度の除外を受けられる重さを維持しています。
DJI Mini 3 Proは重量据え置きであるものの、DJI Mini 2から大きな進化を遂げています。飛行時間は30分から34分に延長。ビジョンセンサーは下方にカメラ1機+サーマル2機から下方・前後にカメラ6機に強化。前後方向にもデュアルカメラセンサーが搭載されたことから、Miniにも前後方向の障害物検知機能が実装されました。これに頼り切ってしまうのはもちろん良くないですが、どろーん背後の環境が知れる様になったのは、嬉しい進化です。日本向けに販売されていたMavic MiniやDJI Mini 2は、バッテリーの容量を減らして軽量化を施していたので、飛行時間も18分を基準に進化した事になるので、この点も圧倒的進化と言えるでしょう。
標準仕様のDJI Mini 2から重さを変えずに飛行時間を若干ながら延長させ、ビジョンセンサーの追加や障害物検知機能の搭載等の重量増要素が多い中、飛行重量249gを達成しているので、Mini 3 Pro機体本体構造物の軽量化に余念がありません。その影響か、機体素材のチープ感はお察し…
バッテリー抜きの機体重量で約+20g、バッテリーも出力を維持しつつ重量を抑える工夫が(Mini 2様標準バッテリー約100gに対してMini 3 Pro用標準は約80g)されています。
DJI Mini 3 Proの撮影用カメラは、1/1.3 inch CMOSセンサーが搭載されています。聞き慣れないサイズのセンサーですが、このセンサーはSONY製のセンサーでスマートフォン搭載用カメラセンサーとして使用されているCMOSです。Xperia 1Ⅳに搭載されるカメラセンサーが同じ製品で、本年発売が予想されているiPhone 14にも採用されるとかされないとか。
DJI製品では、Mavic Air 2(IMX586)以来のSONY製センサーの採用です。Mavic Air 2の1/2.3 inchに対してMini 3には1/1.3 inch、これが大きくなったのか小さくなったのか、イマイチイメージが付きにくいですが、1/2.3 inch ≒ 11.04mm、1/1.3 inch ≒ 19.54mmなので、Mavic Air 2より大型のセンサーを搭載している事になります。
DJI Mini 3 Pro最大の特徴はであるカメラジンバルの稼働範囲です。従来の空撮用ドローンではカメラの最大仰角が36°(Mavic 3)でしたが、これがMini 3 Proでは大幅に強化されました。DJI製品としてもカメラが上を向くドローンは、Phantom 1の発売以来初めてのことで、撮影手法の幅を更に広げてくれる他、インフラ保守分野でも可動域の広く高精細画像データを取得できるカメラと小さい対角寸法のDJI Mini 3 Proは活躍の場がある様に思います。
真上とは言わないまでも、カメラが上を向いてくれるので天井や橋桁の裏の撮影も、従来機と比べて圧倒的にやりやすくなっています。
また、ジンバルの操作は上下に限らずロール方向にも回転可能になり、カメラアングルを縦位置にできる様になりました。過去には初代Mavicがフレームを縦位置にすることがで来ていましたが、あくまで画面の両サイドを縦位置に見える様にトリミングしていただけだったので、RAWデータ上では横位置のままのデータが生成されていました。
飛行中のライブビューは縦位置に切り替えると、画面比率に合わせて小さく映りますが、実際のデータはカメラセンサーそのものが90°回転するので、指定した画像サイズのまま記録されます。
DJI Mini 3 Proは、本文執筆時点でも「無人航空機」にカテゴライズされるドローンのため、屋外での飛行は環境や用法に合わせて、飛行許可や飛行の承認が必要になり、たとえ許可承認の手続きを取ったとしても、飛行には数多くの制約が課せられてしまいます。兎にも角にも、ただと目の前で飛ばすだけでも飛行許可が必要になるドローンなので、今回のテスト飛行は屋内のみ。現在航空局への飛行許可承認申請中です。
初期設定のまま飛ばしてみると、送信機のスティック操作に対する期待の挙動は、Mavic Air 2以降と同様の挙動で、旋回操作(エレベーター or エルロン+ラダー)を入力すると、自動で旋回方向にロールかピッチが入る仕様です。DJIは今後この路線で行く様ですね。Mavic 2 には初心者にとっては思ったラインをトレースしやすくしてくれる機能として効果を発揮してくれる、熟練のオペレータにとっては、操作以外の勝手な挙動をするために思ったラインから逸脱してしまう厄介な機能で、現状Mavic Air 2以降を使う場合はこれを相殺する(弧の内側に過剰に入って行ってしまうのを引っ張り出す)操作が必要になっています。また、開封時の標準設定ではラダー操作に対する機体の回頭の感度が緩く設定されているので、カメラパンの反応が悪いと感じる場合は、制御系の詳細設定からEXPの「回転」を設定すると好みの味付けに変更できます。また、EXPはスロットルとエレベーターの感度も変更できるので、操作性に難ありと感じた場合はEXPと高度ジンバル設定から、レスポンスの調整に挑戦してみるのもいいかもしれません。
DJI Mini 3 Proには3種類のキットが用意さてていて、「機体とバッテリーのみ(¥92,400)」「機体とバッテリー+DJI RC-N1付き(¥106,700)」「機体とバッテリー+DJI RC付き(¥119,900)」を選ぶことができます。この3つの内、どれを買うのがいいのか、DJI RCが要るのかどうか。悩ましいポイントだと思います。ドローンテラスのお勧めとしては・・・
ご自身最初のドローンとして、DJI Mini 3 Proをご検討いただいている貴方には、「DJI Mini 3 Pro + DJI RC-N1(¥106,700)」お勧めします。飛行にあたり送信機は絶対に必要なので、まずはスタンダードなキットを購入しましょう。
現行のMavicシリーズで標準セットとして同封されているコントローラーで、DJI Air 2SやMavic 3とも互換性があるコントローラーです。スマートフォンをアンテナとコントローラー本体に挟み込んでモニターとして使用するタイプで、モニターとして使用するスマートフォンにはDJIのアプリケーションダウンロードページかApp StoreでDJI FLYアプリをインストールする必要があります。また、あまりにも古い端末だと、DJI FLYの動作に端末のCPU処理が追いつかなくなり、ライブビューの乱れやアプリケーションがクラッシュする恐れがありますので、その場合はスマートフォンを最新の機種に機種変更していただくか、DJI RC付き(¥119,900)の購入をお勧めします。
無人航空機の線引きが200gから100gになってしまうと、飛行時間を犠牲にして軽量化したDJI Mini 2をわざわざ使う理由も無くなって、「どうせならもっとポテンシャルの高いドローンを」と考えもあるでしょう。この場合は、Mini 2で使っていたDJI RC-N1がそのまま使えます。既製品とは言いつつDJI製品は個体差が大きく、扱い慣れた今あるRC-N1を引き続き使うとコントローラーの操作感はそのままに、機体のアップグレードが可能な、「DJI Mini 3 Pro 送信機無し」をお勧めします。
Mavic 3を既にお持ちで、サブ機としてDJI Mini 3 Proの購入を検討されている方。まさかMavic 3で空撮をしているユーザーがRC-N1で満足しているとも思えないと言うことで、DJI RC Proを導入している前提でのケースです。この場合は、機体だけ購入すればもちろん事足ります。まだDJI RC Proを導入していない場合は、これを機にDJI Mini 3 ProとRC Proの購入もお勧めです。今後、RC ProにMini 3 Proも対応するでしょうし、Mavic 3の操作感が劇的に改善します。
プロの空撮オペレーターやハイアマチュアのドローングラファーの中にはMavic 3 Cineを愛用されている方もおられるでしょう。そんな貴方にもDJI Mini 3 Proをお勧めします。是非「DJI Mini 3 Pro + DJI RC」のセットをお買い求めください。先述の通り、近いうちにDJI Mini 3 ProもRC Proに対応しますが、わざわざ現場でコントローラの切り替えも煩わしいでしょう。操作性はRC Proに劣りますが決して使いにくいコントローラーではありません。右ダイヤルの露出コントロールを割り振っておけば、マニュアル露出の制御も1人で可能です。
この領域のオペレータにもなると「Pro」と銘打った製品はプロユースに使えないと言う心配をされている方もおられるかもしれませんが、このDJI Mini 3 ProはDJI製ドローンの信頼性を持ちながら、カメラアングルの自由度が格段に向上したドローンです。また、小型故に狭部にも操縦スキルさえあれば進入できるので、貴方のクリエイティビティを存分に発揮できます。
報酬が発生する様な空撮やとことん拘った映像制作をするわけではないが、カメラアングルの自由度に惹かれてDJI Mini 3 Pro購入を検討されている方には「DJI Mini 3 Pro + DJI RC」のセットがお勧め。付属するDJI RCも近日中にDJI Air 2SやMavic Air 2、Mavic 3へ対応することがほぼ確実なので、これらをお持ちの方も同様です。撮影中に電話がかかってきても冷静にスルーできればいいですが、画面上に着信表示が出てイラッとすることもDJI RCを使えば無くなります。
ドローンテラスではDJI製の各種商品を取り扱っております。件のDJI Mini 3 Proも在庫ご用意しておりますので、ぜひ1度足をお運びいただければ幸いです。
6月20日に令和2年に告示の改正航空法が施行されると、無人航空機の定義が「小型無人機の内、飛行重量が100g以上の物」になり、小型ドローンに対する規制強化がなされます。DJI Mini 3 Proは元より、DJI Mini 2も6月20日以降は「無人航空機」としての運用をしなければならなくなります。Mavic Air 2と同じ扱いになると言うことです。
そして、法改正は6月に行われるのですが、飛行運用に関する規制緩和は12月まで持ち越しなので、この半年の間は、現行(2022年6月19日までの)法規に基づいて運用する必要があります。と言うことは、国による飛行許可・承認の対象になります。
許可承認の申請にあたって、飛行経歴と飛行運用に関する法規や安全対策の知識に関する証明が必須で、自己申告による申請に説得力を持たせられる経歴(過去の許可承認取得実績)があれば問題ありませんが、Mavic Miniシリーズでお茶を濁してきたユーザーは今一度運用に関する知識のアップデートが必要です。
ドローンテラスでは、この半年を切り抜けるための申請手続きに技能証明書類として飛行許可承認申請書に添付できる、無人航空機操縦技能認証が取得できる講習プログラムを開講しています。
既に、ある程度の操縦経歴がある方には、4日間で基本申請4項目の認証が得られる無人航空機操縦士2級コースをお勧めしております。「基本申請4項目」と聞いてピンとこない貴方、ぜひ受講をご検討ください。
ビジネスシーン向けの認定証取得を目指せる「プロフェッショナルコース」と、趣味でドローンを楽しみたい人に向けた「パーソナルコース」の2コースをご用意。国土交通省登録講習団体にも指定されています
(SUSCドローンスクール大阪)。