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DJI Mini 3 Pro – フライト&カメラインプレッション

航空局に申請していたDJI Mini 3 Proの飛行許可と規定外用法の承認が出たので、屋外飛行のテストとサンプルデータ撮影を行いました。屋内飛行でのファーストインプレッションは以下の記事をご参照ください。

新製品のDJI Mini 3 Pro、従来のMavicシリーズからの変更点があります。それはモーターアームの開閉方法です。

折り畳み機構が変更に、飛行前のお作法が変わる

2016年発売の初代Mavic以来受け継がれてきた「前水平可動・後垂直可動下回し」がDJI Mini 3 Proでは「前推移直可動下回し・後水平可動」に変更になり、開閉順序が無くなりました。

DJI Mini 3 Proが最初のドローンだという人は何の問題もないのですが、Mavicシリーズの他機種からの買い替えや追加導入の場合は、咄嗟の場合に回転方向を間違ってしまう可能性も。Mavic 3以降、モーターアームが細くなっている傾向がありますので、アームの可動方向には注意を払ってください。決してアームをへし折ったりしないように!

Fly More Kitは必須

DJI Mini 3 Proのスタンダードキットは機体本体と送信機しか同梱されておらず、全てがパッケージになったFly More Comboは設定されていません。代わりに、追加バッテリーや充電器・充電ハブ・持ち運び用バッグがセットになったFly More Kitが設定されています。半ば必須のキットなので、お求めの際はFly More Kitとの同時購入をお勧めします。

※2022年6月12日現在、商品供給状況が不透明な状態にあり、Fly More Kitの販売開始時期は未定となっております。

機体重量増しによって安定性は向上、しかし

テスト飛行日が企画的風のある日だったため、耐風性能も見ることができました。DJI Mini 2比で+49gの重量増により、一定風速の風の中での自律ホバリングはMini 2と比べても安定している印象ですが、細かい強弱のある風や、障害物裏の乱れた風の中では少し辛そうな印象も受けます。ラダーの反応も風の中では悪くなり、微妙なコントロールに対する反応ができていないように感じます。

DJI Mini 2とMini3Pro 厚みの比較
左 DJI Mini 2. 右 DJI Mini 3 Pro

機体の厚み(高さ)が大きくなっている分、風の影響も大きくなったのではないでしょうか。耐風圧性能自体はモーターのパワーアップで他のシリーズと同等の性能が確保されていますが、自律制御による位置の補正はやはり後手の対応になるので、他のドローンと同様に風の中での飛行には特に注意が必要です。

モニター表示は他のシリーズと共通

機載カメラの映像を見ながらのFPV飛行に移行すると、画面の表示や各種プロンプトは他のDJI Flyを使用するドローンと殆ど違いはなく、縦位置と横位置の切り替えボタンがRecボタン横に配置されているくらいです。飛行時のモニター表示が同じフォーマットであるため、飛行させる機体が変わっても操作に迷うこともありません。

小型カメラドローンとしての正当進化

DJI Mini 3 Proは、Mini2やMavicAir 2と比べても優秀な空撮ドローンです。 Mini 3 Proは、1/1.3 inch 48MP CMOSセンサーを搭載し、(ただし、通常のキャプチャは12MPです)。35mm判換算で24mm相当 の画角を有しています。

Miniシリーズ初のフォーカス機構搭載

DJI Mini 3 Proのメインカメラにはピント調節機構がMavic Miniシリーズとして初めて搭載されました。パンフォーカスだったMavic MiniやDJI Mini 2と比べても映像の描写力は格段に向上していますが、対象に接近して撮影する場合にはピント位置への配慮も必要になります。いくら広角レンズのカメラとは言ってもFno.が1.7のレンズなので、ピントが狂っていると写りにも影響が出てくる可能性があります。

プロ仕様に並ぶ明るいレンズ

DJI Mini 3 Proのカメラの特徴として、従来と比べて明るいレンズを使用していることが挙げられます。カタログスペックにもある通り、メインカメラのレンズの開放絞りはf/1.7と、これまでのDJI製ドローンに搭載されているカメラの多くが開放値f/2.8よりも明るいレンズ構成になっています。この数値はZenmuse X5S用に採用されていたDJI、Panasonic、Olympus製レンズのf/1.8〜f/1.7に並ぶ値です。

大型化したカメラセンサー

DJI製ドローンの機載カメラの撮像素子センサーは大判化が進んでおり、DJI Mini 3 ProではSONY製新型センサーであるIMX708を搭載しています。センサーサイズもDJI Mini 2(1/1.2 inch)から少し大きくなっています。

静止画

撮影データはDJI Mini 2に引き続きDNG(RAWデータ)とJPEG記録に対応、シングルショット設定では1,200万画素(4032×3024)、48MPモードを選べば、Mavic Air 2と同様に4,800万画素(8064×6068)での画像記録が可能になります。

シングルショットモードで記録した撮影データ。色味の鮮やかさ、特に空の青さが際立っていたDJI Mini 2と比較すると、彩度は若干低めではあるものの撮影時に記録したJPEGをそのままスマートディバイスに転送してSNS等で使用できる画像クオリティを持っていますが、補正無しで記録されるRAWデータが曲者。

いずれも色補正をしていない撮影データですが、RAWデータの「ケラレ(周辺光量落ち)」が目立ちます。JPEGデータは自動補正によって四隅の暗部が補正されていますがRAWデータから現像する場合は、周辺光量落ちの補正作業が必要になります。

動画

動画モードでは、最大4K/60fpsビデオ撮影に対応ししており、DJI Mini2の4K/30を上回ります。 150Mbpsの最大ビデオビットレートとコードフォーマットH.264/H.265への対応も相まって、難照明環境を問わず見栄のする動画データを得ることが可能になりました。

また、Mini 3 ProではD-Cinelikeカラーモードにも対応しています。ハイライトとシャドウの情報を細かく記録し、編集段階で細かな色調補正を行う事により、より幅広い色表現が可能になります。

Mini 3 Proに採用されているCMOSセンサーIMX708はデュアルネイティブISO対応であり、エントリーモデルの小型ドローンでありながらHDR動画が撮影可能(4Kサイズ限定)です。これにより、より高精細にシャドー部、ハイライト部を表現できます。

レンズフードでハレーション防止

DJIのカメラドローンシリーズの難点の一つが、ハレーション対策が成されていないことが挙げられます。交換レンズ対応のZenmuse X5SやX7では、レンズフードを取り付けてハレーションカットの対策ができていましたが、PhantomやMavicシリーズではそうもいきませんでした。サードパーティから、余分な光の入射をカットできる製品が販売されていたりもしましたが、機体の重量増への影響などを考慮すると小型機での採用も悩ましいところ。

Mini 3 Proのカメラには、基本構造としてレンズフードのようなカバーが装備されていて、余分な光がレンズ内に取り込まれることを防止してくれています。

Mini 3 Proのレンズフード

真上から降り注ぐ光をカットして、レンズへの入射をカットしてくれています。苦手だった横方から光が当たる環境でも、コントラストを維持した撮影が可能になりましたが、このレンズフードが先術の「ケラレ」の原因にもなっていたりするので、今後ファームウエアのアップデートで電子的に解決してくれることに期待しましょう。

アンダーパワーはMiniシリーズの宿命

DJI Miniシリーズは軽量化を第一のテーマとして開発されているため、カメラの飛行プラットホームとしての機動性は控えめです。最大の機動性を発揮するS-モードの最高速は、水平16m/s(57.6km/h)垂直5m/sはMini 2と同じで、降下速度のみ上昇速度と同値に強化されています。

どちらかというとビギナーをターゲットにした製品であるため、運動性能は控えめにしてゆっくりまったりの撮影に特化したドローンです。

機体登録制度リモートID発信機を内蔵

DJI Mini 3 Proは旧制度においても問答無用で「無人航空機」に該当するドローンです。2022年6月20日以降は、改正航空法によって義務付けられる機体登録記号を発信するためのリモートID機能が内蔵されているため、機体の改造等を行うことなくオリジナルの状態で飛行させることができます。

無人航空機の登録制度については、過去記事をご参照ください。

Mini 3 ProかAir 2Sの選択

DJI Mini 3 Proとの比較検討対象としてDJI Air 2Sが候補に上がってきます。この2つのドローンは価格帯も大差無く、これからドローンを購入しようと検討されている方の悩みの種になることが予想されます。

この2機種は、商品パッケージの構成が異なるのでセット内容が同一になるDJI Air 2S Warry-Fly More ComboとDJI Mini 3 Pro + DJI Care Reflesh(1年) + Fly More Kit+の3点セットで比較すると。価格はAir 2S〔¥165,000〕に対してMini 3 Pro〔¥147,070〕で、2万円ほど安くなりますが、やはり人気があるのはモニター内蔵の送信機「DJI RC」が付属するセットに基本パッケージを変更すると160,270円。

スマートフォンをモニターとして使用しなくて良くなるので、Android端末のDJI Fly適合問題やApple系端末の熱への脆弱性を考えるとDJI RCは魅力的です。

運動性能はモーターにパワーがある分Air 2Sに軍配が上がりますが、撮影のスタイルによってはその機動性も宝の持ち腐れになるかもしれません。

カメラの描写力に関しては、筆者の個人的感想ですがDJI Mini 3 Proを迷わず選びます。現時点で若干の問題点を抱えているMini 3 Proではありますが、今後アップデートによって改善されていくことは確実、実際にMavic 3は発売当初から著しい改善を遂げました。センサーサイズの差こそあれど、最大解像度はMini 3 Proの方が優れているわけで、大伸ばし出力を考えると4,800万画素の画像データは魅力的で、且つその解像度を縦位置でも維持することが可能なのですから、悩む余地がありません。

最新機種である以上、上位機種をも超える性能を持たせることがよくあるDJI製品。DJI Mini 3 ProもDJI Air 2Sを超えるポテンシャルを秘めています。

現在、DJI Mini 3 Proの供給が滞っており、現在DJI RCセット及びFly More Kit、機体単体は事前注文を頂いた方のみへの販売となっております。

DJI RC-N1のセットも在庫1点のみとなっております。

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