MURAMOTO DRONE TERRACEでは、空中を飛行するドローン以外にもROV(Remotely Operated Vehicle / 遠隔操作型無人潜水艇)と呼ばれる機器も取り扱っています。俗に水中ドローンと呼ばれる機材です。
ドローンというと、空を自在に飛び回る無人飛行機のイメージ。特に近年ではマルチコプターと呼ばれる回転翼航空機の事を指すことが多くなっていますが、遠隔操作によって操作するロボットという観点から見ると、活躍の場は空中に限ったものではありません。寧ろ飛行型のドローンよりも水中ドローン(ROV)の実用歴史は長く、1912年にニューファンドランド沖で沈没したタイタニックの調査を1986年に行っているなど、基本的な機材の形は変わっていません。
飛行型のドローンは多くの製品で、無線通信による遠隔操作によって操縦します。GNSS(GPS等の衛星測位システムの総称)などを活用して、操縦補助や自律飛行が可能な製品が多く販売されています。空中であれば電波を活用した無線通信が可能ですが、水中となると話が変わってきます。基本的に水中では電波通信ができませんので、コントローラーと水中ドローン本体はケーブルで接続されています。そのため、「航行可能範囲=ケーブルの長さ」ということになる訳です。数kmの飛行距離を持つ空中機と比べると物足りなく感じますが、何かあってもケーブルを引っ張れば水中ドローン本体を回収できるというメリットも。
この度、水中撮影用ROVとして導入した水中ドローンはQYSEA社製FIFISH V6です。映像撮影を主な目的としたシンプルな水中ドローンですが、6機のスラスター(推進器)により高い操作性を有しています。旧来の小型水中ドローンはスラスター3機の製品が主体で、お世辞にも扱いやすいとは言いづらい製品でした。6発式の水中ドローンの操作は飛行機の固定翼式と回転翼式それぞれの操作方式が選べます。メジャーな送信機の操縦モードで言うところのMode-1〜4が回転翼式、Mode-5〜8が固定翼式です。
水中深くに潜航していくと、次第に太陽の光が届きにくくなります。撮影にはある程度の明るさが必要なので、水中ドローン本体に高輝度LEDによる照明が搭載されています。製品の能力的にも水深100m程の深さまで潜ることができますので、そこまで潜ると日の光はほとんど届きませんので、機載照明が効果を発揮します。
水中カメラとしての役割を担うこの水中ドローンですが、カメラの能力はと言うと。基本的に空撮用のドローンと同程度の能力を有しています。SONY製CMOSカメラセンサーを搭載し、最大有効画素数は1,200万画素、写真はJPEG又はDNG(RAW)に対応、動画は4K 30fps MPEG-4AVC / H.264、HEVC / H.265に対応しています。能力的にはMavic Air 2と同じくらいと認識しただけれ結構です。
動力源はリチウムイオンポリマーバッテリー、定格出力9,000mAh / 97.2Whなので、機内持ち込みであれば、飛行機に乗る時も手荷物として持っていくことができます。
空を飛ぶ空撮ドローンはバッテリー容量と飛行重量、モーターの電力消費量のバランスが重要で、長時間飛行を実現することが、ドローン開発の課題でもありました。バッテリー容量を大きくすればその分航続可能時間を伸ばすことができますが、バッテリー本体の重量が増加してしまい、より出力の大きなモーターが必要になり、思ったほど航続可能時間が伸びないと言うジレンマに陥ります。
水中機の場合は、浮力を相殺する為にある程度の比重が必要になります。そのため、バッテリーの容量の増大が容易であり、テスト機であるFIFISH V6のバッテリー容量は先述の通り。Mavic 3のフライトバッテリーが5,000mAhなので容量は倍近く。また浮かず沈まずのバランスにより、ホバリング中は飛行型ドローンほど電力を消費しません。よって、最大4時間もの連続稼動時間を実現しています。
海水によってバッテリーの冷却も効いているので、飛行型よりもバッテリー効率もいいのでしょう。
静止画はRAWデータが撮影できるため、事後に細かい色補正が可能です。1,200万画素のCMOSセンサーによる写真データは、点検用途や映像素材の撮影に十分な性能です。
サンプル画像は和歌山県串本町のサンゴ群生調査と和歌山市内のヨットハーバー内でのプレジャーボートの推進機点検を想定したものです。本来、ダイバーがハウジングに入れたカメラを用いて撮影していた映像も水中ドローン1台で完了!船舶の喫水線下の点検も、ある程度の透明度があればプロペラやサイドスラスター、金属部の電食を防ぐ為に取り付けたジンク(防食亜鉛)の点検もお手の物。
4月28日、天気予報に反して曇り、かつ風と波の高いコンディションと先日までの雨の影響で、これでもかと言うくらいに海が濁った環境。また、波が高いと海中の水の動きも大きくなるので、ROVのコントロールが大変になります。が、安定化制御を有効にしておくと多少の修正舵をコントローラー側で入力することで、大方思い通りのコントロールができていました。
サンプル動画の様な環境であれば、飛行型ドローンとの組み合わせで空中から水中ドローンの位置を把握することも可能です。
MURAMORO DRONE TERRACEでは、空撮の他に水中ドローン撮影業務も承っております。映像素材の撮影から海洋調査、水中構造物や船舶喫水下の点検撮影などにご利用いただけます。また、海底からのサンプル収集やレーザースキャン等に対応した機材や、作業用舟艇の手配も可能です。
港湾区域や航路区域での作業にあたり、海上保安庁の作業許可が必要となる場合がございます。申請手続きから海域調整など、ワンストップでご依頼いただけますので、お気軽にご相談ください。
ビジネスシーン向けの認定証取得を目指せる「プロフェッショナルコース」と、趣味でドローンを楽しみたい人に向けた「パーソナルコース」の2コースをご用意。国土交通省登録講習団体にも指定されています
(SUSCドローンスクール大阪)。