デジカメ感覚で旅行にも持っていけるサイズや、比較的安価なドローンでも高いカメラ性能を有するドローンがラインナップされていることもあって、旅行のお供にドローンを持って行く人も増えたのではないでしょうか。海辺での飛行は周囲に障害物も少なく比較的飛ばしやすい環境でもあるので、新たな趣味としてドローンを用いた空撮にチャレンジするという方もおられるかと思います。そんな方に、日本の夏にドローンを飛ばす際に気をつけて欲しいこと3点をご紹介!
梅雨入りしてジメジメした毎日が続いていますが、天気予報の気温は30℃を超え始めました。特に今年は、例年にない速さで梅雨明けしてしまい、酷暑で有名な埼玉から北関東地域では、予想気温で40度の表示が出るほど。
天気予報の予想最高気温の数値が体温並みになるのが普通になってしまった日本の夏。人にとっても辛い環境なのは言わずもがな、ドローンにとっても好ましくない環境です。ドローンの動力源として使用されているリチウムイオンポリマーバッテリーを使う上で最も効率よく働いてくれる温度は22〜28℃、人が快適に過ごすことができる気温とイコールだと思っておいてください。当日の最高気温が35℃と観測された日の地表付近の実際の気温は40度を裕に超え50℃に迫る勢い、地上付近にドローンを長時間置いておくのも危険です。保護機能が働いて飛ばなくなるだけならいいのですが、高温からくる不調がドローンのどの部品に影響を及ぼすのかは予測がつきません。バッテリーの温度が55℃を超えてしまうと危険領域です。
DJI製のドローンはバッテリーの温度が50℃を超えると保護機能が働き、モーターが回らなくなります。
ドローンの飛行を司るフライトコントローラー、モーターの回転数制御を行うESCなどの電子機器はもとより、ドローンが飛ぶための揚力を生み出すためのモーターも暑さに弱い部品の一つです。モーターで使用している磁石の仕様によっては80℃あたりから磁力がダウンするもの(ネオジウム磁石は80〜120℃で磁力ダウン)もあるので、ドローンも長時間の連続飛行は避けてあげましょう。また、送信機にスマートディバイスを装着しライブビューモニターとして使用する場合はスマートフォン等を炎天下やエアコンを切った車内などに放置しないようにしましょう。
もちろん、ドローン本体を高温になるような環境に置いておくこともご法度です。最悪の場合バッテリーの破損やドローン本体のCPU以上が発生するリスクも否定できません。
流石にドローンはロボットなので熱中症になることはありませんが、モーターが熱ダレを起こしたり、バッテリー高温でモーターが起動しなくなります。暑くても寒くても自己主張して職務放棄してくるドローンですが、操縦しているオペレーターは限界超えても頑張ってしまいます。
飛行に夢中になるあまり水盆補給を忘れたり、長い時間炎天下での活動を続けることは、ドローンの正常な操作に影響を及ぼしかねません。航空法では、ドローンの飛行に影響を及ぼす恐れのある状態での飛行を禁止する条文があります(航空法第132条の2第1号)。元々はアルコールや薬物の影響下での飛行を特定条件下で禁止する内容ですが、解釈次第では熱中症の症状で意識朦朧となった状態でドローンを飛ばしていても、適用される可能性はゼロではありません。
特に筆者は海系のバイアスがかかった人種なので、海辺でのドローンフライトがどうしても多くなりますが、山に行ってドローンを飛ばそうと考える人もおられることでしょう。山での空撮で特に気をつけて頂きたいのは、飛び回る虫との接触です。もちろん、機体破損の原因となる樹木等の障害物に注意を払うことは当たり前ですが、空中を飛ぶ虫との接触はドローンに思わぬ影響を及ぼすことになります。
みなさまご安心ください。ドローンが虫に接触して落ちることはほとんどありません。カブトムシやセミなどの硬い系の虫がドローンに当たってドローンが落ちたという話は、少なくとも筆者は聞いたこともその経験もありません。普通に回転するプロペラが勝ちますし本体に直接当たる可能性は限りなく低いはず。
昆虫がドローンに接触して起こりうる最悪の事態は、回転するプロペラ経由でカメラのレンズフィルターについてしまうことです。こうなると、撮影した映像に影響を与えてしまったり、最悪の場合レンズフィルターが使い物にならなくなってしまいます。
ドローンを離陸させる前の機体点検の重要性はドローンスクールの講習の中でもよく語られる内容ですが。飛行中に発生した小さなエラーを把握するための、着陸後の機体点検も同じく重要です。部品の異常発熱の有無や、ドローンの汚損破損が無いかの確認も重要です。特に夏場は機体の温度が高止まりしがちなので、細かい変化に気がつけるようになる事が重要です。飛行時に発生している音の変化を聞き取れるようになる事も重要です。
飛行前に行うドローンの点検は法律で定められたドローンオペレーターの義務です。もちえろん温度管理も含まれますので、機体のコンディションチェック時には特に注意してみてください。
小学校の校庭にあった白い箱、皆さん記憶にありますでしょうか?
百葉箱と呼ばれる白い箱は、気象観測のために温度計やその他観測機器を日射から遮蔽するとともに雨や雪から保護する役目を担っています。直射日光を妨げ、設置する高さも1.5m(気象庁基準)で設置されているため、日々の生活で感じる暑さより幾分和らいだ環境です。天気予報で示される予想気温も、百葉箱で観測される値を予想しているため、市街地やコンクリート・アスファルト舗装された街中では、さらに高温になります。
気温35度程度とされている日、街中で外に出て日向で気温を測ると45度を軽く超え、地面温度は50度を超えることも。50度はリチウムイオンバッテリーの喪失が起こる温度でもあるので、長時間日向にドローンを置いておくという行為は、相当に危険な行為であると言えます。
直射日光を受けての温度上昇は気温25度を超えたあたりから、危険ラインに突入します。「夏日」になると炎天下による温度上昇への対策を強化する必要が出てくるでしょう。もちろん機材の保管状況によっては25度未満であっても、車の中への放置や直射日光を受けないような対策は必要です。
ビジネスシーン向けの認定証取得を目指せる「プロフェッショナルコース」と、趣味でドローンを楽しみたい人に向けた「パーソナルコース」の2コースをご用意。国土交通省登録講習団体にも指定されています
(SUSCドローンスクール大阪)。