空撮用ドローンで撮影データの記録用に使用するメモリーカード。色々なメーカーが様々な製品を販売していますが、必ず推奨品を使用しなければいけないのか。量販店で売っている安い製品だとダメなのか。容量が大きい方がいいのか小さい方がいいのか。ドローン用の記録メディアが今回のテーマです。
デジタルカメラの保存用やカーナビのシステム起動ディスクとしてなど、様々なシチュエーションで記録メディアとして採用されていSDカード。実際にはデータ容量の大きさによって3つのタイプに分類されます。記録メディアとしての「SD(Secure Digital) カード」とは、保存容量が2GBまでの容量のものを言います。さらに保存容量の大きいものの内、保存容量が4GB〜32GBのものを「SDHC」、64GB以上の容量のものを「SDXC」と言います。最近では4GB未満のメモリーカードを目にする事も少なくなったので、販売されている多くの製品がSDHC以上と言うことになります。
SDカードには、記録メディアの大きさ毎にSDカード(主にデジタルカメラで使用される)と、mini SD(携帯電話などのモバイルディバイスでよく使用されていた)、micro SD(小型のモバイルディバイスで使用される)の3種類があります。DJI製品を一とする多くのドローン製品では、もっとも小さいく軽いmicro SDが使用さてています。
重量増を抑えると言う意味ではmicro SDはドローンに打って付けの記録メディアです。ただ、その小ささ故に取り扱いには注意が必要です。micro SDを使用する機器ではロック機構がスプリング式になっており扱いを誤ると、micro SDカード紛失の原因になったりします。
DJI製ドローンで使用を推奨しているSDカード。現行機種では256GBまでのmicro SDが対応しています。
推奨品として挙げられているSDカードの銘柄。ここに挙げられているmicro SDでないと正しく機能しないわけではありません。ただ、推奨品以外のmicro SDを使用すると書き込み速度の低下や、動画のコマ飛びが発生する恐れがあります。
micro SDカードを選ぶポイントは、記録容量も大切ですがスピード指標が重要になってきます。連続するデータの書き込みや読み込みを表した速度規格があり、micro SDにはSDスピードクラスとUHSスピードクラスの2つのタイプがあります。
SDスピードクラスには、CLASS2、CLASS4、CLASS6、CLASS10の4段階に分類され、最低保証速度が定められています。CLASS2は2MB/sec、CLASS10になると10MB/secの最低保証速度が保証され、スピード重視で利用したい際には重要なポイントです。
2010年から用いられる速度規格で、UHS-Ⅰ、UHS-Ⅱの2種類があり、理論値ではUHS-Ⅰで最大104MB/sec、UHS-Ⅱで最大312MB/secのデータ転送が規格化されています。また、SDスピードクラスと同様の最低速度保証もありUHSスピードクラス1では10MB/sec、UHSスピードクラス3では30MB/secとなっています。
上記のDJI推奨SDカードのリストに挙げられている銘柄は全てSDスピードクラスCLASS10、UHSスピードクラス3のmicro SDです。動画を撮影したり写真を連写したりする場合には、データを記録する際の高速処理能力が重要です。推奨品でないと撮影したデータを保存できないと言うことはありませんが、長時間の動画クリップを撮影して保存するのに時間が掛かってしまい、録画を一旦停止して再度録画を開始するまでにラグが発生することがあります。
DJI製ドローンの映像データは、静止画でもRAW+JPEGで撮影した場合は1カットあたり合計30MB前後の容量(Mavic Air 2 12MP画像)に、動画を4K 60fpsで撮影すると1分あたり900MB程度の容量になることもあります。静止画をベースに考えても最低速度保証30MB/secのUHSスピードクラス3の能力で保存に最長で1秒かかるかかからないかの能力です。
ドローン撮影で使用するmicro SDカードでオススメなのはSanDisk Extremeのシリーズが筆者個人的にはオススメです。実際に地上の映像撮影を行う際にもSanDiskのSDカードはよく使っていました。重要な撮影を行う際には是非ともドローンメーカー推奨の規格に則ったmicro SDを選ぶ方が良いでしょう。
ドローンメーカー推奨品以外でも撮影に使えないわけではありません。遊びレベルの空撮では安価に手に入るmicro SDを使ったとしても、新品であれば書き込みが遅いくらいの不具合で済みます。動画もFull-HD 30fps程度のサイズであれば特段に問題なく使えていた記憶しかありません。ちなみにFull-HD 60fpsを超える動画サイズにしてしまうと、たまにコマ落ちや書き込みエラーなどにより正しく動画ファイルが保存されないことがあります。
UHSスピードクラスによって値段が2倍以上の差になりますが、データ保存の信頼性を求めるのなら推奨品の使用をお勧めします。
家電量販店のセール品で16GBや32GBのmicro SD CLASS10が数百円で売っていたりします。先述の通り、UHSスピードクラス3がDJIを一とするドローンメーカーの推奨品ですので、それ以外の企画のmicro SDではデータが正しく保存されない恐れがあります。なので、リスクヘッジとして空撮の受託業務では安売りされているようなmicro SDをメインカメラとなるドローンで使用することはありません。しかし、プライベートでドローンを持って出かける際には安売りmicro SDを普通に使います。特に筆者は海辺での使用や海上での使用が多くなりがちで、落としたり無くしたりの可能性が高いので、ごく稀に「32GB CLASS10が800円!」みたいなのを見つけると、複数枚購入していたりします。特に、Mavic Proなどの古いドローンを使う場合は安物で十分見たいなところもあるので。
ただし1つ要注意なのは、必ずSDスピードクラスには注意してください、安いSDカードやコンビニで売っているmicro SDの中にはCLASS4やCLASS6のものがあります。ドローンで使えない事もないのですがかなりストレスフルな状況に陥りますので、CLASS10であることは確認してください。
micro SDに限らず、記録メディアを選ぶ際の要素として、保存容量も重要な要素になります。市場で販売されているmicro SDは容量の小さいもので2GBから4GB、8GB・・・大容量なもので2TBのものがちらほら出てきました。現実的に手に入りやすい製品だと16GBから256GBのものが主流で、DJI製ドローンの推奨品でもこの範囲の製品が挙げられています。
保存容量の大きさはスピードクラスと違いユーザーの好みで決めて大丈夫です。大容量品にも小容量品にもメリットデメリットがあり、どの容量が正解!なんてものはありません。DJI製ドローンでは256GB以上のmicro SDはサポートされていません。
SDカードの容量選びでは2つの考え方があり、「大容量一括保存派」と「小容量分散保存派」に分かれます。
大容量の記録メディアはメモリーカード1枚で大量のデータを持ち運べることが最大のメリットで、SDXC(64GB以上)に該当するものが俗に大容量メディアとされています。撮影中も比較的データ容量も気にせず撮影できますし、PC上でのデータ書き出しも1回で処理が完了するあたり、作業効率も良くなります。ただし、micro SDは消耗品であることを忘れてはいけません。特にmicro SDは基盤が露出している構造のため、データロストのリスクが高かったり、機器から取り出しを失敗すると、紛失や破損のリスクもあります。多くのデータを1枚のメディアに記録できるメリットが仇となってデメリットに、その1枚を破損してしまうと全てのデータが消えてしまいます。
小容量のSDHC(4~32GB)を分散して使用すると、1枚のメモリーカードが破損したとしてもその他のメモリーカードは健在のため、全てのデータが消失してしますリスクを回避できるメリットがあります。ただ、保存容量が小さいメディアは容量あたりの価格が高いため、コストが嵩むこととデータのコピーを複数回処理しなければならないため、データ整理に手間がかかることがデメリットとして挙げられます。
DJI製の空撮用ドローンは最大飛行時間が30分程度とされていますが、実用飛行時間は精々20分程度です。この20分間連続で動画撮影を行なったとして、4K 60fpsの動画でおよそ20GBほどの容量です。micro SDを一とするメモリーカードは、容量として提示されている容量のデータを保存できるわけではありませんが、概ね32GBのmicro SDカードで35分程度の撮影が行える計算です。SDカードの破損リスクもさる事ながら、ドローンそのものの墜落紛失リスクはオペレーターのスキルがどんなに高くても0にすることはできないので、そこも加味するとフライト毎にmicro SDを交換するサイクルが成立する32GBの容量が最もコストパフォーマンスがいいと言うことになります。
最近では64GBのmicro SDXCカードも比較的お求めやすい価格になってきましたので、もう少し容量に余裕を持たせるのもいいかもしれませんね。
ドローンテラスでも、SunDisk製のDJI推奨品と廉価製品のmicro SDを取り揃えています。その他メーカー品も取り寄せ可能ですので、記録メディア選びでももお気軽にご相談ください。
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(SUSCドローンスクール大阪)。