ハイエンド空撮機のInspireシリーズの最新機種、Inspire 3が発表されました。
基本的なデザインは従来のスタイルを継承し、航続可能時間・映像伝送品質が向上し、機体本体と合わせて発表されたZenmuse X9-8K Airには新開発のDJIシネマカラーシステム(DCCS)が採用され、実物に忠実な色合いを捉えることが可能です。映画やCMの撮影現場など、妥協を許さない色表現を空撮映像でも追求できるようになります。
基本的な機体形状はキープコンセプトではあるものの、4つのローター配置は正方形から台形形状になっており、この配置はMavicシリーズでも採用されている機体形状です。
Inspireシリーズは、初代Inspire 1の時代から、カメラジンバルを操縦操作から独立して制御することを前提に設計されているため、カメラはパン方向に360度回すことが可能で、どの方向を向けても機体構造物が映り込むことはありません。
また、Inspire 3はカメラ仰角が最大80°に拡大可能なチルトブーストモードが搭載されており、高画質光学カメラを用いたインフラ目視点検の代替としても使用することができるのではないでしょうか。
動画の撮影をしていると、機体操縦、ジンバルチルト、露出(PやSに設定している人も多いかもしれませんが)の制御を1人で行うことになります。Inspireが出動するクラスの空撮業務だと、フォーカスも露出もマニュアルで制御することになるでしょう。そうなると、どんなに熟練の空撮オペレーターであっても手は2本、指は計10本しかありませんので、操縦とカメラワークを分業となるわけです。
尚、Inspire 3は、「操縦」「カメラワーク」「フォーカス・露出」の3オペにも対応しており、ドローン空撮ならではの圧倒的なアングルの自由度に加えて、フォーカシングと明暗コントロールによる表現も撮影の段階で徹底的に追求できます。
2オペや3オペで空撮を行う場合は、カメラオペレーターは撮影用カメラを好き勝手な方向に動かすため、メインカメラのライブビューでFPV飛行を行うことはできません。Inspire 2以降のモデルでは、チルト操作が可能な操縦用カメラが別にもう1台搭載されていて、操縦者はそのカメラからの映像を見て機体操作を行います。
操縦操作とカメラワークが分離されているため、ワンオペでは高度な操縦技術を要する撮影でも簡単に行うことができまます。
Inspire3にも前後左右上下方向全てに対応する障害物検知用のビジョンカメラが搭載されており、より安全に撮影のための操作に専念することができるようになりました。
また、産業機や農業機で多く採用されているD-RTKシステムを搭載しており、あらかじめ飛行ルートをプロットしておくと、入力されたパス上でのみ飛行するような設定も可能です。これにより、3次元移動が可能なレールカメラの役割を果たすことができます。
Inspire3の基本パッケージとして同梱されるZenmuse X9-8K Airは最大で4K / 120fpsのProRes RAW動画のフルサイズ撮影をクロップ無しで収録できる為、様々な編集オプションに対応できます。
また、大判動画としては135判フルサイズCMOSセンサーを最大8K / 75fps(ProRes RAW内部収録の場合)まで対応、編集に於ける視覚効果やカラー具レーティングの自由度が広がります。
デュアルネイティブISOにも対応し、30fps以下のフルサイズ撮影を行う場合はEI800/4000に対応、映画制作で用いられる24fps、CMやテレビの撮影で用いられる25fpsの低いフレームレートを積極的に利用できます。また、DJIの空撮カメラが苦手としている薄暗い場所での高ISO撮影に於いても、高感度ノイズを低減してより精細に撮影ができるようになった為、地上ベースのシネカメラに匹敵する撮影品質を担保できるようになりました。
ダイナミックレンジも30fps以下の動画であれば14EV以上、30fps以上でも13EV以上を確保、シャドーからハイライトまで細やかなディテールを鮮明に捉えます。
X9-8K Air用に開発されたレンズは現時点で4種類。最広角は18mm、空撮用としてはスタンダードな24mm(Mavicシリーズはこのレンジが主体)、35mm(135判に於ける準広角レンズ)、50mm(135判標準レンズ)が用意されています。「広角レンズで被写体に近づいてダイナミックに」や「望遠で遠近を圧縮して背景の動きを大きくする」など、光学的なアプローチで表現手法を選ぶこともできます。
高精細カメラで望遠レンズを使えると、可視光カメラによる点検用途でも活躍するかもしれません。
Inspire3は機体とZenmuse X9-8Kを基本パッケージとして、様々なオプション機材が用意されています。全てを揃えると300万円近い価格になることも。
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