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【制度解説】DJI Mini 4 Proが型式認証を取得!でも「自由に飛ばせる」とは限らない

2025年5月、DJIの人気ドローン「DJI Mini 4 Pro」が、日本の国土交通省から第二種型式認証を取得しました。

「これでもう自由に飛ばせる?」
「飛行許可なしで飛ばせる様になるって聞いたけど?」

実はこれ、制度構成を正しく理解しておかないと結構危ないお話です。
本記事では、「型式認証ってなに?」「何が変わって、何が変わらないのか?」を、ドローン初心者や特に最近蔑ろにされがちの趣味層やライトユーザー向けに解説していきます。

ちなみにDJI Mini 4 Proは可搬性能・カメラ画質・安全性能・経済性に優れたカメラドローンで、基本これ一台あればあらゆるシーンの撮影で事足りる、いい子ちゃんです。

型式認証とは

「型式認証」とは、ドローンの設計や構造、ソフトウェアなどが国の安全基準を満たしているかどうかを国土交通省が審査・認証する制度です。

DJI Mini 4 Proが取得した「第二種型式認証」は、目視内飛行・補助者あり飛行(レベル1〜3)を中心に、「一定の条件下で飛行許可を省略できる可能性がある」と。要するに、「この型のドローンは、安全設計です」と国がお墨付きを与えることになります。

が、実際のところ制度としてはかなり微妙で、DJI Mini 4 Pro以外に型式認証を受けたドローンはと言うと、

国土交通省型式認証機リスト

全てのドローンがどんな製品か分かるという貴方はかなりのドローンマニアです。なかなか一般ユーザーがお目にかかる様な機材はなく、二種の第1号のSONY製Air Peakだと知っている方もいるかもしれませんが、その他はかなりバイアスのかかった業界でしか使用されていない機材しかラインナップされていません。

なので、趣味層の方にはあまり馴染みのない制度であったのは事実です。

型式認証があっても、すぐには飛ばせない?

ここが誤解されやすいポイントです。型式認証を受けた機体を、実際に運用するには、さらに「機体認証」が別途必要です。

型式認証と機体認証の違い

制度対象内容
型式認証設計・製造ライン「この設計のドローンは安全です」という国の判断
機体認証実際の1機体「この1台が、設計通りにちゃんと作られているか」の確認

たとえば、あなたがMini 4 Proを家電量販店で購入しても、それだけでは「型式認証機」としてのメリットは得られません。別途、機体認証を申請して、認証プレートを装着する必要があります。

実際に何が変わるのか?ホビーユーザーにとってのメリット・デメリット

Mini 4 Proの型式認証取得によって、ホビー層でも以下のような恩恵があります。

◯ メリット
– 一部の飛行許可が不要になる(登録・認証済みの機体に限る)
– 「国が認めた機体」という安心感と正し位手続きを踏めば、合法的に堂々と飛ばせる
– 高い受講料を払って取得した「技能証明」の効力を発揮できる

✕ 但し、こんな制限も
– 機体認証の手続き・費用が必要(数千円かかる)
– 認証プレート貼付が必須
– 空撮場所によっては、結局「飛行許可・承認」が必要なケースが大多数
– 技能証明(俗に言う国家資格)も機体認証も必須なわけではないのに、「免許がないと飛ばせない」と誤解されがち

最も大きな制度上の変化は、事実上法的には殆ど効力を発揮してこなかった二等技能証明が、ようやく日の目を見ることになります。

一部の飛行方法による特定飛行申請手続きにおいては必須となるケースもありましたが、やはり対象は超限定的。機体認証も従来みたいに個別認証で数十万円から数百万円という的外れな制度構成ではなくなりました。

制度としては前進、でも本質的課題は変わっていない

型式認証という制度は、制度的には重要なステップです。DJI Mini 4 Proの型式認証取得が画期的であることは間違いありませんが、それによって制度上の様々な課題が解消されたわけではありません。相変わらず国の規制によってドローンが「使えないツール」にされてしまっていることに変わりはありません。

ドローンの操縦を特殊技能にしたい層が2018年頃からマジョリティになってしまって以降は、規制の複雑さに拍車がかかっています。

結果として、

  • 型式認証、機体認証、飛行許可、技能証明――それぞれが別個の制度として存在し、重複・煩雑な運用が求められる
  • とくに趣味層・ライトユーザーにとっては、「気軽に始める」ことの障壁が高すぎる
  • 結果、規制強化と複雑怪奇化に伴いBtoC市場は縮小あるいは壊滅(特に2022年の100g規制以降に顕著)

機体認証の制度自体は日本だけではなく、アメリカやヨーロッパでもドローンの認証システムやカテゴライズに関する制度整備が進められています。日本の場合はそれらを的外れな内容で諸外国に先行して導入、結局運航現場に実害を及ぼしているのが特徴です(あくまで筆者の主観です)。

確かに、安全性確保が第一なのは理解できますが、同じ内容の確認・検査が何重にもなされる制度設計や手段の目的化が目に余る状態になっており、ライトユーズレベルの民間活用を妨げる温床にもなっています。

技能証明保持者は要注意!

重複する内容ですが、一定の条件に適合した環境であっても「型式認証」+「二等技能証明」だけでは、飛行許可・承認の免除対象にはなりません。

対象となるドローンで個別に「機体認証」を取得し、その認証番号をJUから始まる登録記号とは別に掲示しなければなりません。車の運転免許を持っていて、市販されている車を買っても、車検が有効でなければ公道を走れないのと同じです。

この点は、必ず押さえておいてください。

だからこそ、正しく学ぶことが大事

Mini 4 Proの型式認証取得は、「安心して飛ばせる第一歩」であると同時に、制度を正しく理解して楽しむためのきっかけでもあります。

ドローンテラスでは、一度離れてしまった趣味層・ライトユーザーの皆様のCome Backと、複雑怪奇な制度のフル活用目指す殊勝な心意気を持ったヘビーユーザーの皆様を応援します。

認証を出した国が偉いのではなくメーカーが偉い

– Mini 4 Proは、型式認証を受けた日本初のコンシューマードローン
– 型式認証だけでは飛ばせない → 機体認証が必要
– 飛行許可が不要になる場面もあるが、制度の理解が不可欠

今回はあくまでユーザーの認証取得手続きの簡略化と負担軽減のために、メーカーが製品の型式認証を取得してくれた。で、止まっています。型式認証の取得には認証取得にかかるコスト以外にもメーカーはリスクを負っており、DIPS2.0からの情報漏洩についてはかなり警戒されていました(制度施行前に実際にDIPSからの漏洩事件があった)。

また、すでに世に出ているDJI Mini 4 Proは今回の型式認証取得による効力の対象外になるため、注意が必要です。なお、認証対象になるMini 4 Proの出荷は6月中旬以降となる予定です。

何れにせよ、ようやく「使えるドローン」が型式認証機に加わったことは、喜ばしいことです。今後他のDJI機が加わることに期待したいと思います。

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