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ドローン法制から10年の歩み Vol.1|ドローン「特定飛行」の制定

2025年は大幅なドローンの規制強化が敷かれてからちょうど10年になる年。この10年間でどのような変化が起こり、ドローンに纏わる法制度や社会環境がどう変わっていったのかを振り返ってみたいと思います。

いつまで続くのかは、筆者の頑張りとやる気次第。ではあるものの、2015年の航空法改正施行からちょうど10年となる12月15日までの間、シリーズでお届けしたいと思います。ちなみに、今のドローンに纏わる法規、行政、業界団体に対しては批判的な見方です。

初回は、ドローンの飛行ルールができるまでの歩みとその内容の再確認です。

2015年より前はどうだったのか?

2015年にドローンの飛行規制に関する条文が追加された航空法改正があった。との表現を用いる教本などを見かけますが、半分正しく半分間違っていると言えます。確かに「無人航空機」を定義し、その運航に係るルール作りをしたという点では、ドローン規制の施行と言えなくもないですが、現在俗にドローンと呼ばれているマルチローター型のラジコンが世に出現したのは1987年(今の形のドローン製品は実は日本製品が初)。1992年の終売以降、マルチローター型のRCヘリは一旦姿を消しました。

国内では、2011年ごろにParrot Bebopを皮切りに、マルチローター型のRCヘリが再登場。同年にDJIがドローン関連商品のリリースを開始し、2014年発売のPhantom 2から日本国内でも流通が始まりました。

DJIのPhantomシリーズがドローンとしての知名度を獲得していく中で、ドローンといえばPhantomの形を想像する人は、折りたたみ式の機体が中心となった昨今でも、今だに多いはずです。

旧来のラジコン飛行機規制

そんな元祖空撮機が主力だった当時のドローンの飛行ルールはどうだったのかというと、別に野放しだったわけではありません。

  • 空港周辺の物件設置制限区域(制限表面を超えて)の飛行を禁止
  • 管制区域内及び航空路下では高さ150m未満で飛行させること
  • その他の空域では250m未満で飛行させること

以上3点、高さに関する規制が設けられていました。航空保安の観点から定められていた規定で、当時すでに模型航空機(R/Cヘリや飛行機)を対象としたルールとして定められていました。

管制区域と航空路下、一般空域を見分ける能力が必要であるため、今以上に空域の情報収集能力が必要ですが、幸い規制高度に到達できる(無理すればできたもしれないが)機器もなかったことから、特段の問題なく既存法規に則って運用されてきました。

当時のドローンユーザーの属性

  • ラジコンヘリが趣味のホビーユーザー
  • カメラマンの空撮代替
  • 無人ヘリを用いた農薬散布

日本国内でのドローンの走りといえばラジコンヘリでしょう。はるか昔からシングルロータータイプのラジコンヘリの愛好家は数多く。ヘリのメーカーや各種部品を取り扱う専門店も数多くありました。大型のラジコンヘリを用いた農薬散布を含む防除作業も古くから行われており、現在ではマルチローター型への置き換わりが進んでいますが、今でも従来の方式での防除活動が行われています。

GPSによる自動位置制御機能が搭載されたマルチコプターがドローンと呼ばれるようになった頃から、小型のウェアラブルカメラを搭載する空撮用モデルを使って低空からの空撮を担うドローンカメラマンなる職業が世に知られるようになってきました。

首相官邸無人機落下事件から航空法での規制運用へ

高性能高機能が進むドローン技術に比例して、ある意味特殊技能であった飛行型R/Cの操縦が誰でも使えるガジェットになった事から、2014年ころから、ドローンの法規制については検討されていた最中、2015年の4月に発生した首相官邸無人機落下事件を機に一気に規制強化が進展しました。

当時メディアでは「首相官邸にドローン落下」と報じられることが多かったものの、実の所落下ではなく、意図的な侵入・設置だったので、ユーザーからしたら「警備体制を潜り抜けて官邸屋上に着地していたドローンに心底ビビって法規制を急いだ。」としか思っていなかったり。実際、筆者はそう思っていました。現にこの直後、2015年6月にドローン規制強化を含む改正航空法が公示され、特例措置として6ヶ月で施行された事からも、あながち間違いではないのかもしれません。

ドローン規制本格施行「特定飛行」はこの時から

2015年12月15日の航空法改正施行により、200g以上の小型無人機が「無人航空機」として新たに定義付けされ、現在のドローン規制が始まりました。同時に飛行禁止空域での飛行許可制度、指定飛行方法に依らない飛行の承認制度もスタート。

飛行の禁止区域として定められた

  • 地表又は水面から150m以上の高さの空域
  • 制限表面の上空
  • 人又は家屋の密集している地域の上空

で、ドローンを飛行させるためには、飛行により航空機の航行の安全や地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがない事の証明を含む申請手続きを行なった上で、許可を受けなければければなりません。

飛行の方法として、

  • 日出から、日没までの間において飛行させること
  • 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視していること
  • 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離(30m以上)を保って飛行させること。
  • 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
  • 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
  • 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。

飛行の方法としては、承認項目に加えて、飲酒時の飛行禁止や危険行為の禁止なども含まれています。

これらに依らない飛行は、禁止行為として定められています。例えば夜間飛行や目視外飛行、イベントの会場でドローンを飛行させる場合は、飛行により航空機の航行の安全や地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがない事の証明を含む申請手続きを行なった上で、飛行の承認を受けなければければなりません。

これらの飛行ルールは、ドローンを運用する上での基本原則とされており、市街地での飛行やモニターを見ての飛行を行う場合は、飛行禁止空域で飛行させる場合は飛行許可、定められた方法以外で飛行させる場合は飛行の承認を得なければなりません。

「ルールメーカーは使い方を知らない」は世界共通

本稿で解説したドローンの飛行ルールは意外と世界共通の部分が多くあります。高さの制限に関しては、日本の「150m未満」が最も緩く、最もポピュラーな規制は400ftや120m制限となっている国が多いです。夜間飛行に関しては、取り扱いが別れ、許可制や一切禁止など扱いは様々です。

目視外飛行に関しては、禁止の国も多い中、許可制を取っていても何を以って「目視外」とするのかが解釈によって如何様にも運用できる様、違法行為を取り締まる側に裁量を持たせた形になっているのも世界共通だったりします。

日本のドローンの飛行許可承認の審査要領や各種制度設計に関する資料を見ていても、これ考えた人間は実際のドローン飛行に従事していないか、オペレーターとして未熟であることは明白であり、各種基準制定根拠が的外れなことも多発しています。

  • リスクレベルの判定で、「空撮」や「高所点検」をレベル1や2に指定している。
  • 第三者車両などの上空飛行まで禁止している(人に限定している国が多い)。
  • 機体認証の安全基準が過剰かつ運用が恣意的

幸い、上に挙げた問題点は少しずつではあるものの、改善の方向には進んできているので、小型機に関しては2015年以前の規制レベル相当に戻すくらいの、画期的な措置を機体したいものです。

次号は、飛行許可・承認を受けるための申請手続きについて特集します。

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